Wafty’s diary

情熱は止まらない 私達は進み続ける

【第1話 宣戦布告】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

 
 
……空…………それは、青くどこまでも続く夢への希望……
 
……空…………それは、美しく何色にも染まらない不思議なもの……
 
……空…………それは、時に厳しく僕らに試練を与えるもの……
 
 
空―――――――……………この世に無くてはならない存在だ…………なぜなら……
 
今も昔も……ずっと僕を見守ってくれている存在だったから……………
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その知らせをTVで僕が聞いたのは10年前の事だった――――。
 
 
 
『人間世界、ポケモン世界に正式に宣戦布告』
 
 
 
TVはそうニュースを伝えると突然、画面が砂嵐になった…。
僕はこの知らせを聞いた時、『え…?』 と、しか言いようが無かった。
 
人間世界がポケモンの世界に戦争を…?どういう事だ…?
 
そういえば…僕のトレーナーであるナオヤは『ちょっと街に出かけてくる…』と言ったきり、
もう丸一日僕らの元へ帰ってきていない……
 
『ねぇ…今のニュース…どういう事?』
『わからない……でも…嫌な予感がする……』
『ナオヤ…大丈夫かな…』
他の仲間も突然の出来事に驚いた様子だった。
『ちょっと俺、ナオヤを探してくる!』
『おう!頼んだぞ!』
空を飛ぶ事ができた僕はナオヤを探しに、人間達がいる街の方へ行ってみた。
 
しかし、そこで僕を待っていたのは人間じゃなくてトレーナーに見捨てられたポケモン達だった…。
その数は異常なほどに多かった。
大声で泣いているポケモン達…あるポケモンは混乱したかのごとく絶叫していた。
街は見捨てられたポケモンでうまっていた。僕は建物によりかかって空を見上げているポケモンに尋ねた。
 
『なぁ…これは一体どういう事だ…?人間が1人もいないじゃないか!』
『お前知らないのか?…人間は俺らポケモンを裏切ったんだよ……』
『え…』
 
 
そう僕が言った瞬間、裏山から轟音と共に何百機の飛行機が上空を通過していった。
 
 
『な…!?…まさか…!!』
『あぁ…人間はこのポケモン世界から逃げ出したんだ…俺達を敵にまわしてな…』
 
何百機…いや…何千機にもなる飛行機の集団はあまりの多さに空を黒色に染めていた。
 
『に、逃げるって…何処に逃げるんだよ!』
『人間の世界に決まってるだろ。ポケモン世界にいた人間は皆、人間世界に行くんだ。』
『まさか…ナオヤも!?』
『ナオヤ?……そうか…お前もトレーナーのポケモンだったのか…』
『君も?』
『あぁ、俺もトレーナーのポケモンだった。いい奴だったんだけどな…だが人間がポケモンを裏切るとはな…』
『う…裏切るって…詳しく言ってくれ!』
『…それはな…』
 
このポケモン世界にいる人間達は今まで、俺らポケモンと仲良く平和に暮らしていた。
だが1年前、ポケモン世界の国連に人間世界の国連からある通知が届いたそうだ。
 
1年後にポケモン世界にいる全人類はポケモンを手放し、人間世界に移住せよ―――――と……
 
勿論、突然の通知にポケモン世界の人間達は人間世界の国連に猛反対した。
ポケモンは家族みたいな存在だ!!絶対に手放したりしない!!
強制的だ!!移住断固反対!!など…反対意見が続出したさ。
 
だが…人間世界は極秘のうちに特殊な装置を使ってこのポケモン世界にいた人間の思考をコントロールした。
人間洗脳装置『HBD-5000』と言うものを使ってな……。
ポケモン世界の人間達はこの装置に洗脳された事に気付かないまま、今日に至った訳だ。
俺はさっきこの事を知った。だが、もう手遅れだった……。
人間世界は着々とポケモン世界に戦争の準備を始めている。
 
 
『…という訳だ。』
『そんな…そんな…なんで!!人間世界はなんでこの世界に攻めるんだ!!』
『それは俺にもわからない……だが、何かの目的があるんだろうな…きっと。』
『そんな…昨日まで人間達は皆、普通だったじゃないか!』
『そう…ポケモンにも気付かれないように人間を洗脳する…それがHBD-5000の恐ろしさだ…』
『く…ちくしょう……気付かない内にそうなっていたなんて……』
『もう後戻りはできない……3ヵ月後にはここに攻めてくるそうだ…』
『!?何!?本当なのか!?』
『嘘じゃない。マジな話だ。ほら、あそこにある文字を見ろ。』
 
ふと街の電光掲示板を見ると、ある文字が映し出されたまま止まっていた。
 
 
 
3ヵ月後、また会おう。
 
 
 
 
 
『どういう意味だ…』
『要するに3ヵ月後に戦闘が始まるって事をさりげなく表してるんだ。あれもHBD-5000が人間にやらせた事だ。』
『……』
『俺らが生き残るには戦うしか無い。…人間世界に勝つ事だ。』
『3ヵ月後…会おう…って………最後の最後まで裏切るなんて…』
『それが人間世界ってもんだ。それ以外の何者でも無い。人間はもう我々、ポケモンの敵だ。』
『………』
 
飛行機の姿は徐々に消えていった。
飛行機は人間世界の空へと消えていった。
 
街にはポケモン達が団結して『この世界をなんとしても守ろう!!』と、言う声があちらこちらで上がっていた。
『もう…始まっているんだな……』
 
 
人間と戦う…人間と戦う………………ナオヤと同じ…………人間と…………戦う…………
 
 
『う…うぅっ!うぁっ…!』
『あ…どうした!?』
僕は耐えきれずその場から逃げ出して飛び立った。
 
『嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ――――――っ!!うわぁぁあぁああぁ!!』
 
 
 
僕は泣き叫びながら、皆にこの事を伝えにいった。