Wafty’s diary

情熱は止まらない 私達は進み続ける

#小説

【第73話 目標。=東京特攻2=】SPECIAL ATTACK APPLICANT

二十歳を迎えた冬の肌寒い日、私は彼等の笑いが止まる光景を目の当たりにした。ここで言う『彼等』というのは例えるなら同じ電車に乗り合わせた乗客の様なもので、『笑いが止まる』というのは終点に着いたその電車から降りる為に必要な手元にあった筈の切符…

【第72話 首都攻防戦 =東京特攻1=】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・地名とは一切関係ありません。 〓√〓 WELCOME TO JAPAN 〓√〓 日本へようこそ! この国では他の人たちとの“調和”が 上手く生きていけるかどうかの鍵になります! まずあなたの個性・才能は全て捨てて下さい…

【第71話 Good-bye Days】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

白。 視界には白一色しか無い。無地で何一つない白だけの世界。 何の音もしない、無音の世界。 空母『あやかぜ』に特攻を敢行したまでは覚えている…。 ここは…死後の世界? 視線をずらしても自分の存在は物体として認識することは出来ない… そもそも上下左右…

【第70話 運命の日】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

12月22日 PM10:00 カントー本拠地 SP隊特別作戦班、特殊隔離施設。 この日の夜は、銃声は間を開けて数発聞こえるか聞こえないかのゲリラ戦状態だったという。 青白い月の光に包まれた空に黒い硝煙が漂う…いつもの見なれた光景だった。 カントー本拠地は仲間…

【第69話 Limit】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

12月21日 AM10:00 カントー本拠地 SP隊特別作戦班、特殊隔離施設。 ジョウトからの信号は全て切れ、戦闘状況が明確に把握できる場所はカントーのみとなった。 風前の灯火を通り越し、消えかかっている炎に水が掛けられようとしている…そんな状況。 この特殊…

【第68話 そして悲鳴は愛になる】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

東へ伸びてく影も、暮れなずむ今日を惜しんでは消えていく。 瞬きの間に一瞬の色を変えてる。 揺るべ無い僕の気持ちは…僕の言葉は、忙しい日々に呑まれても、どうせ些細な冗談や空目ばかり。 嘆いていた過去を許してくれないか。 おどけた声で慰めて、ぎこち…

【実話】『名前のない化け物と白い鳥』

※この話は作者の実体験に基づいた短編小説(この記事単体で完結)です。 多少の誇張表現やデフォルメ表現はありますが、ほぼそのままの出来事を記しています。 よかったら御感想をお聞かせ頂けると幸いです。 追記: この作品は『小説家になろう』にも投稿し…

【第67話 AST→】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

“…――これが『真実』だ。” アスターが呟いた直後、暗闇の遥か先で突如、 今まで聞いたことの無いような凄まじい轟音が響き渡った。 最初は金属同士が酷く擦れる音… 次に金属か何かが、コンクリートか何かに激しく衝突するような音が聞こえた。 そして数秒の無…

【第66話 AST】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

この話のもう1つの伏線『杉原直哉』。そろそろ彼の事も話さねばならないだろう… あの夏の日、彼の身に何があったのかを。 この話を俺が知る事になるのは12月23日になるが、この日はあまりにも壮絶で記す事が多すぎるため、 今ここでその彼の話をした方が良…

【第65話 信号消滅】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

彼女に嘘をつく度、胸をチクリチクリと針で刺されるような痛みが何度も走る。 彼女の笑顔を護るために吐き続ける言葉は中身の無い空虚なもので、 僕の身体はドロドロした黒いもので塗り固められていく。 初めは何てことは無い些細な事だった。悲しむ姿は見た…

【短編小説】『蟻の病』

ある国にキリギリスと蟻が暮らしていた。彼等は互いに同じ国に暮らそうと予め誓ったわけではない。 始めからそこに暮らすのが当たり前であると、それぞれが思っている。 必然的にそうなっているのだ。 キリギリスは、社交的でみんなの人気者である。 いろん…

【第64話 雨中の退却】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

12月19日の朝。 ジョウト地方は明け方から雨が降りだしていた。 ザァ―――――――… いつ雨から雪に変わるのか分からない、みぞれのような雨だった。 冷たい雨が地上にいる疲弊しきった兵達の体力を更に奪っていく。 言葉を発する力さえ兵達にはもう残っていない。 …

【第63話 黒の旗】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

かつて俺のトレーナーをしていた「ナオヤ」という少年――――― 彼はこの戦争が始まる前に他の人間と同様、忽然とこのポケモン界から姿を消した。 “人間界で「杉原直哉」という少年がこの「ナオヤ」のゲームプレイヤーだった” その事を知ったのは、この戦争のシ…

【第62話 狂気、最終防衛線の戦い】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

12月16日、ジョウト地方。 敵の陸上部隊は、本拠地から30kmの地点を結んだ地点『最終防衛ライン』に到達する。 ジョウト地方の領地は半径30kmの円形状にまでに狭まり、 ジョウト地方での地上戦は最終局面を迎えようとしていた。 「はぁっ…!はぁっ…!」 “ブ…

【第61話 心理戦】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

12月3日、ジョウト地方。 敵の陸上部隊は、本拠地から70kmの地点を結んだ地点『二次防衛ライン』に到達した。 即ちそれは、ジョウト地方の領地は半径70kmの円形状にまで狭まった事を意味する。 しかし、ジョウトはこれ程までの犠牲がありながらも、まだマシ…

【第60話 悲壮!決別の無線】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

ジョウト地方では開戦後、迫り来る脅威を足止めする最後の拠点として3つの防衛ラインを定めていた。 ジョウト本拠地からそれぞれ、 100kmの地点を結んだ線を『一次防衛ライン』、 70kmの地点を結んだ線を『二次防衛ライン』、 30kmの地点を結んだ線を『最終…

【第59話 大 反 撃】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

「本当に上手くいくんだろうな…」 「これで駄目だったらいよいよオシマイだな」 作戦が行われる直前の夜、点々と掘られた各地の地下防空壕には、 そんな会話をする陸上隊員の姿がいくつも見られた。 11月1日。ある大規模な作戦が行われようとしていた。 作戦…

【第58話 閃光弾】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

『悲愁の丘』が陥落し、ジョウトの敵の侵攻は本拠地まであと数百キロと迫っていた。 追い込まれていく自分達は、ただ毎日じわじわと敵の占領地が拡がるスピードを抑えるだけの 消耗戦が続いていた。敵は…戦えば戦う分だけ、倍の手を打ってきた。 こちらが予…

【第57話 悲愴の丘】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

かつて、太平洋戦争の末期。沖縄地上戦において、シュガーローフの戦いと呼ばれる戦いがあった。 シュガーローフという言葉は直訳すれば「砂糖の丘」になる。 これは当時の米国の菓子のイメージ=赤に因んだもので、当時の日本軍が米軍向けに 停戦を促そうと…

【第56話 人道主義】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

「……誰か…応答して……くれ」 繋がらない。 「誰か聞いてたら…伝えてくれ…」 規定以上の強い荷重がかかった彼のFlexは、通信機能に障害が発生し、 本拠地の情報部にもノイズしか入ってこなかった。耐久性がいいはずのFlexが不運な事に、 最後の最後で機能に障…

【第55話 サイカイ】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

…… 私はかつて、海上隊で対水中戦要員として戦闘に参加していた。 私はまだ当時15歳だった。私が対水中戦要員を希望した理由は 『ローレライ』という人間世界の話に出てくるカウラという少女に憧れていたからだ。 しかし…海上隊は陸・海・空の内、最も早く被…

【第54話 都市白兵戦】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

明かりが差さない暗い地下空間に吐息の音が聞こえる。 その吐息の発生源は都市攻防戦に割り当てられた無数の陸上隊員達だ。 敵の侵攻を察知し警戒宣言が発令された地下空間は、 発令と同時に、ありとあらゆる灯りが消され一気に暗闇と化した。 周りに何があ…

【第53話 未知の勝利】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

「勝った…?」 耳を疑うような知らせだった。 『神山島の斬り込み』以来、完全に“勝った”なんて言葉を聞かなくなっていたからだ。 圧倒的な物量戦で攻めてくる敵に対し、勝つなんてのは一瞬の幻想のようなもので 翌日になれば直ぐに領土が奪い返されるのがオ…

【第52話 北部の戦い】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

伝説ポケモンの活躍もあって、陸上戦闘の時間稼ぎの成果は想像以上に出ていた。 しかし、海上の艦隊にはその攻撃すらも通じない。 イタチごっこみたいなもので、やられてはやり返すを、ただひたすら繰り返す。 その繰り返しがいつまでも保つわけもなく、夏が…

【第51話 聖戦 -後編第1話-】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

空は心みたいなものだと思う。 晴れだったり、曇りだったり、雨だったり、雪だったり…その姿は実に多種多様だ。 まるで心情をそのまま映した鏡のようにすら思える。 空は母みたいなものだと思う。 時に優しく、時に厳しく。いくら時間が経過しても、その存在…

【第50話 翼 -前編最終話-】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

「確か……杉原直哉と…鷲宮楓…だったか………」 敵捕虜の言葉にシークは、思わず体を止めた。 「…何でその名前が出るんだ」 「さぁな…」 ピピッ 「通信だ、ちょっと失礼」 「…………」 その時、シークのFlexに突然通信が入った。切羽詰まった甲高い声が聞こえてきた…

【第49話 捕虜】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

「――…はい、そうです。敵捕虜1名の捕獲に成功しました。情報部からは何か… …え?向かわせてる?……はぁ……はい……はい……分かりました…」 陸上隊の最前線。大空中戦も小康状態になった頃のある日の夜。 陸上隊のある小隊が一人の敵捕虜の捕獲に成功していた。 陸…

【第48話 大空中戦】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

人間は、知性を持つ化け物だ。 でも、夢の中で聞こえる、あの声の主もきっと人間なのに… “私はまだ、弱いままです” 何で、この声を聞くだけで、こんなにも涙が込み上げてくるの…? この声を昔、何処かで聞いた事がある気がする…いつかは分からない。 ずっと…

【第47話 斬り込み】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

敵が上陸した同じ日、敵は上陸とは違う別の行動もしていた。 それは野戦砲台の設置だった。 自分達もあまり住み着かない程、小さな無人島…敵はそこに野戦砲を揚陸した。 この手の野戦砲は随分と大掛かりな代物で射程距離も長く、砲弾は海を越え、 俺達の守備…

【第46話 上陸】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

午前7時20分。沖合に停泊していた無数の敵艦隊は地上に向け、艦砲射撃を開始。 沿岸部を中心に、100メートル四方に25発という容赦無い砲弾の雨を降らせた。 午前8時半、敵の上陸部隊は海岸に殺到した。ここまでは歴史通り。 しかし、ここから先は違う。俺達…