Wafty’s diary

情熱は止まらない 私達は進み続ける

【第68話 そして悲鳴は愛になる】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

東へ伸びてく影も、暮れなずむ今日を惜しんでは消えていく。
瞬きの間に一瞬の色を変えてる。

揺るべ無い僕の気持ちは…僕の言葉は、忙しい日々に呑まれても、どうせ些細な冗談や空目ばかり。
嘆いていた過去を許してくれないか。
おどけた声で慰めて、ぎこちない距離が止まっていく時間も、笑って…運命のせいにしよう。

神様、答えてよ。
僕らは希望に近付いている?
未来はもう、選んでいる。
覚めない、覚めない心を抱いている。


頼りない想いはいつも温もりと共に
ゆっくりと導かれて、戸惑いながらも追い風になぞって進んでいく。
戻れない記憶にどうか焦がないで。幸せをそっと確かめて。
互いの違いを肯定しながら、聞かせて…これからの話を。

もがいて、守って、
僕らは理想に近付いている?
未来はまだ、黙っている。
消えない、消えない鼓動を燃やして。


貴方の声は、届いた感情は、
明日の命になる。

手繰り寄せたこの手は、繋いだまま…














12月20日 PM10:30
ジョウト本拠地。


少女は、目覚める。



「「うぉらああ――ッ!!!消えやがれェエエェエエェエエェエエェエエェエエェエエ―――ッ!!!!」 」

ミライは遂に自身の内にずっと秘めていた、戦闘モードの己を呼び覚まし、
凄まじい閃光と電流を伴いながら敵陣に飛び込んでいく。
情報部陣営が戦闘に加わり、ジョウト地方の実質的な最終決戦となる『本拠地の戦い』は激戦と化していく。


「―――ッ!!」


シュンッ シュンッ!! ザシュゥッ!! ザシュゥッ!! ズァアン!!!! タッタッタッ…
「ゲート20番台が集中的に…!?」

タッタッタッタッタンッ…!! シュンッ…シュンッ…
ザア――ッ ダンダンダンダン!!!! キィン!!
「ちぃっ…!ここもか…!」

パパパパパパ シュンッシュンッシュンッ…
「先に進めないっ…こうなったら!」





スッ パシッ…ジィ―――ッ…
パチッパチッ…チッ…チッチッチチチチ…
ズァアン!!!!!!!!!!
「よしッ!」





タッタッタッ…
「これが…!いつまでもつか…!」

シュンッ…シュンッ… パチッ…ズァアン!!!!!!!!!!
「20番台奪還成功!次は…ッ!」

キィン!!
「40番台周辺…!遠い! …ッ!?




ズォオ――ッ!! …―――ッ!!!!!!


「青の炎…!?…火炎放射機か!!」


パチッ…ズァアン!!!!!!!!!!
「待って…私が今ッ!片付ける!!」



タッタッタッタッタンッ…!! シュオォ――ッ
「…っ…――――ッ!」



シュンッ…シュンッ…
ザア――ッ

…!? な…なんて事……酷い…」



パパパパパパ …
「逃げてる子供を…生きたまま……」





シュンッシュンッシュンッ…
「………………殺す…」



シュッ!!
「絶対に殺す!!!!」


スッ パシッ…ジィ―――ッ…
パチッパチッ…チッ…チッチッチチチチ…

バガァアンッ!!!!!!!!!!








……

………

…………





セレン……




シュンッ シュンッ!!
「…っ…――――ッ!」





私…頑張ったよね……





「ウアァァアァアァ―――ッ!!!!」
ザシュゥッ!!



もう…十分……だよ…ね…………



「アァァッ!! アァァッ!! アァァッ!! アァアァ――ッ…!!!!」
ザシュゥッ!! ザシュゥッ!! グシャァッ!! グチャッ!!



ごめんね……セレン……ごめんね…




シュンッ…シュンッ…
「…ハァッ…ハッ…………」





あなたを守れなかった…最期まで…守れなかった……………




シュンッシュンッシュンッ…
「…ハァッ…ハッ…………しねぇぇ…」





私はあなたのことが大好きだった…心の底から好きだった…

好きだった…好きだった……
好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!好きだった!

あんなに大好きだったのに…!!

それなのに…それなのに……それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに…!


あなたを守れなかった…
最期まで守れなかった………!!







あの時と同じ…また…目の前で…………



嫌だ……嫌だ…嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だあぁああ!!!













「大丈夫、アイツは絶対、私が殺すから」

やめて…

「どうして、そんなに怯えているの?」

お願い…やめて…

「どうして?ねぇ?どうして?どうしてなの?なんで?なんでなの?」

もう…やめて…

「なに?どういうこと?なにが…起こってるの?わからない…わからないよ!」

やめて…やめて…!

「どこに行くの?どこにも逃げ場なんてないよ?」

お願いだから…もうやめてよ…!!

「あの子より私の方が可愛いでしょ?私の方が綺麗でしょ?私の方が暖かいでしょ?優しいでしょ?貴方の隣にいられるしお話も出来るし抱き締めてあげられるしだってあの子もうただの肉の塊じゃない。転がってるだけの肉の塊じゃない。肉の塊より私の方が可愛いでしょ?貴方の顔をずっと見ていたいの。だから貴方の首から上だけを頂戴ね。大丈夫、痛みなんて無いから。あっという間に終わっちゃうよー」

やめてエェ――――――ッ…!!!








……悲鳴も…許されない世の中に…答えなんて…最初から無い。




…くそ……………ふざけやがって…


ならなぁ!どうせ潰されるくらいなら足掻いて散々迷惑かけまくってまでも真実を貫いてやるっ!生きてるんだって証拠をインプットさせてやろうじゃん!!!




シュッ
「………しねぇ…」




目ん玉ひんむいてよう見とけ…これが…穢された…
末路だッ!!!!!





スッ パシッ…チッチッチチチチ…
「しねえぇええ―――ッ!!!!!!!!!!!!」

バガァアンッ!!!!!!!!!!





















12月21日 AM8:30
ジョウト本拠地郊外、山間部。

アルフィーネとブラストは、真夜中の地上の激戦下を切り抜け、
山中の奥深くへと生き延びる事に成功していた。


――…


ピッ…ピッ…ピー【M-177 通信圏外】
「…っ…っ」
「先輩…ここも危ないです…早く…」

ピッ…ピッ…ピー【M-177 通信圏外】
「あの子が…しぬ…わけ…ない…」
「………」

ピッ…ピッ…ピー【M-177 通信圏外】
「…しぬわけない…しぬわけない…」
「………先輩……」

ピッ…ピッ…ピー【M-177 通信圏外】
「しぬ…………わけ………ない…」
「もう…やめて……くだ…さい……」

ピッ…ピッ…ピー【M-177 通信圏外】
「何で…何でよ…繋がってよ…」
「…ミライさんは………もう…」



ピッ…ピッ…ピー【M-177 通信圏外】
「何でよォ!!!あぁああっ…!!」
「……っ」







「……み……ら……ぃ……っ」

「………」

「……ミライは…死なない…」

「…先輩……」

「ミライが死ぬわけな…」

「先輩…!!」

「…!」

「もう…やめて…くださいッ!!」

「……ぅ…」

「ミライさんは…もう…!」

「……ぅ……あぁ……あぁぁぁ……」

「…先輩…ここも危険です…」

「………っ…」

「僕らは…生きましょう…?」

「……っ」

「生きましょう…先輩…!」

「…うん…っ………っ」










その後、彼等は山中の更なる奥深くへひたすら歩を進め身を潜めたという。




――…















12月21日 AM9:52
カントー本拠地
SP隊特別作戦班、特殊隔離施設。



ジョウトが…終わる…』
『……終わりだ…もう終わりだ…』
『………おしまいだ…』




そして自動放送が言い渡された――…










AM9:53 ジョウト情報部 信号消滅






















































「まだ、終わりなんかじゃない。」






まだ、俺は何一つ
生き様を残してなんかいない!





「セレン」
「はい」



ハヤテ先輩が声をかけてきた。



「…この時が来た。」
「…はい。」
「最初で最後の『特攻』だ。」
「…はい。」
「必ず…成功させるぞ。」
「…はい。」






最後の賽は振られた。




神様…答えてよ。
僕らは希望に近付いている?
未来はもう、選んでいる。
覚めない、覚めない心で…

もがいて、守って、
僕らは理想に近付いている?
未来はまだ、黙っている。
消えない、消えない鼓動を燃やして…






あとは『進む』だけだ。

SPECIAL ATTACK APPLICANT 第68話 「そして悲鳴は愛になる」 ――――― 終
次回、第69話「Limit」。
美しい『命』の物語。