Wafty’s diary

情熱は止まらない 私達は進み続ける

【第7話 SP宿舎】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

リレイドさんは基地内の全様を眺めていた。
その背中は頼りがいがありそうだったが少し寂しい感じもした。
入隊登録が完了した事を僕は告げに行った。
 
「登録…終わりました。」
「…何の部隊にしたんだい。」
 
 
「SP部隊です。」
 
「―――――― ……」
リレイドさんは何も言えなかった。言える言葉が無かった。
本当は何か伝えなきゃいけないのに。言わなくちゃいけないのに。口から言葉が出なかった。
 
「リレイドさんの元でこれからお世話になります。宜しくお願いします。」
まるで面接マニュアルの原稿を読むような言い方になっている自分がいた。感情が消えている気がした。
 
「あ、あぁ…宜しくな…」
リレイドさんが初めて自分の前でぎこちない答えで返してきた。それほど彼の心は動揺していたのか。
あるいはSP部隊としての重要性を再認識していたのか。その時の僕には分からなかった。
でも、リレイドさんはすぐに元の笑顔を取り戻した。
 
「こっちにおいで。宿舎を案内してあげる。」
「は、はい。」
 
そうか。今はもう夜の9時を過ぎているのか。すっかり時間と言うものを忘れていた。
僕はリレイドさんの後に付いていく。
「宿舎もS部隊、T部隊、SP部隊と別れているんだ。ほら、アレがSP部隊の宿舎だよ。」
 
SP部隊宿舎。規模は他の宿舎に比べて小さかった。でも何でだろう…一番ホッとするような宿舎でもあった。
リレイドさんと僕はその中へ入った。
 
「おーい、皆聞いてくれー!新しい仲間が入ったぞー!」
いきなりの大きな声で言われ恥ずかしかったが、ちょっぴり嬉しかった。
「お、来た来た!だーれかな~?おぉ!エアームドだ!」
「鋼キタ―――――― ッ!!」
「待ってたぜ!」
夜の9時だと言うのにやけにハイテンションな宿舎内だ。でも面白い。皆、20歳前後の若者だった。
すぐに親しめるような仲間で良かった。
 
「      ……と言います。宜しくお願いします。」
相変わらず僕はぎこちなかった。リレイドさんがその場を促す。
「なーに、緊張しないしない。皆、君の事を待ってくれてたんだ。もうちょっと朗らかに言っても良いんだよ。」
「そうだよー。俺達、エアくんの事待ってたんだぜ~」
「エアくんってネーミングセンス悪いなお前w」
「だ、黙らっしゃい!w」
皆が一斉に笑った。皆、いい笑顔だった。僕も思わずそれにつられて笑ってしまった。
実に和みやすい環境だ。優しい方に恵まれて僕は幸せだと思った……。
 
「ささ、皆。今日はもう寝よう。明日の訓練も朝早いからな。」
リレイドさんが皆にいった。
「りょーかいしやしたー、リレイド隊長。」
皆がそれぞれの寝床へと付く。
「あの僕は…」
「あぁ、寝床なら私が用意してある。おいで。」
と、言われて付いていくとちゃんと寝床が用意されてあった。嬉しかった。
「じゃぁ…疲れたんで僕もう寝ます…」
「おやすみ。よく頑張ったね…今日はゆっくり休んでいてくれ……。」
 
そう言うとリレイドさんも自分の寝床へと戻っていった。
そして宿舎内の電気は常用灯へと変わり、就寝モードになった。
 
 
僕は目を閉じて今日を終えた。
 
 
 
 
 
 
開戦まであと、2ヵ月と3週間だった。