Wafty’s diary

情熱は止まらない 私達は進み続ける

【第11話 無数と黒】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

午前10時。自分はカントー上空にいる。
なかなか見ない風景だ。と、いうか初めて見る風景だな。
 
「先輩、ここ何処っすか?」
「んー…セキエイのちょっと外れた所と言えばそうだし、そうでもないかもしれない~」
 
曖昧な答えだ。まぁそれがハヤテ先輩の面白さの秘訣でもあるわけだが。
風景と同時に見た事も無い飛行ポケモンもいる。聞いた事も無い地方から来たらしい。
彼らは要するに『未来から来たポケモン』なわけで先輩も自分も勿論、リレイドさんも知らない。
流石『未来のポケモン』なだけ生きている環境も違うみたいだ。基本は同じはずなのに何処か雰囲気が異なる。
しかし、この世界を護りたい思いは一緒だ。皆、共通の意志を持っているからこそ、ここに集まってくる。
 
ジョウト航空隊は第1・第2・第3・第4・第5各隊所属の各隊のリーダーに従い着陸!」
「はい!」
 
ジョウト第1航空隊のT部隊隊長がジョウト全航空隊員に指示を出す。
彼はジョウト航空隊を全統括するリーダーなのだ。作戦指揮長の次に階級が高い。
僕らは其々地上に着陸した。静まりかえっていた土地に一気に数え切れないほどの数のポケモンが集まる。
その数はあまりの多さに空が黒く染まっていた………この風景何処かで見た気がする……
 
「…く……」
「どうした…?顔色悪いぞ…」
「な、何でも無いです…」
 
思い出したくも無いのに…何故頭をよぎる…あの風景……ちくしょう!忘れたい過去に限って忘れられない!
忘れろ……
 
忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ
 
 
 
 
 
“……、過去を忘れていく事で俺達は生きていける。だが、決して忘れてはならないものもあるんだ。”
 
 
 
 
 
 
 
 
 
…え?
まただ…誰なんだ…この声……何処かで……
 
 
 
 
 
 
 
 
「TASK1訓練開始!!」
ハッとした。気付いたらもう訓練が始まっていた。
「S-30!来い!」
先輩の声がした。初めて先輩が僕をコードネームで呼んだ。先輩の目つきがさっきと違う。
まるで中身が入れ替わったようなハヤテ先輩がそこにいた。
「はい!」
それに答える。もうここからは冗談は通じない。そういう世界なのだから。
 
 
『各航空隊は西エリアと東エリアのチームにそれぞれ別れ、Flexに表示されたように編隊で飛行せよ』
 
Flexにその情報が表示される。
ジョウト航空隊は西エリアチームだ!赤で表示されている飛行ルートを飛ぶように!」
ジョウト第1航空隊T部隊隊長が皆に勧告した。
瞬時にFlexにその飛行ルートと『WEST AREA TEAM』と表示される。
西エリアに当てられた他の地方の部隊も合流し、東エリアのチームは別ルートを辿りだす。
 
イメージ 1
 
「S-30、聞こえるか?」
先輩の声が聞こえた。
「はい、H-152。聞こえます。」
「これから演習戦を行うから気を付けて。」
「演習戦?地図の×印ですか?」
「そう、おそらくサイクリングロード沖で空中戦の訓練が始まる。」
「い、いきなり空中戦ですか?もしかして東エリアチームと…」
 
「その通り。」
先輩とのやり取りを聞いていたリレイドさんが答える。いや、R-37だった。
R-37「TASK1とは緊急事態を想定した大規模空中戦。かなりの数の敵を相手にする時に発動するんだ。」
S-30「それが…この訓練…」
R-37「そうだ。」
H-152「大丈夫だよ。実弾などは相手も此方も発射しない事になってるから。」
R-37「今回は動きだけ確認する。だた、お互いかなりのスピードで接近するから気をつけろよ。」
H-152「噂じゃ人間界の戦闘機は音速を超えるものもあるらしい。」
S-30「……」
R-37「あと、Flexはマークする機能があるが逆にマークされたのを感知する機能もある。」
S-30「感知されたらどうなるんですか?」
H-152「警告表示が出てくる。15秒以内にマークから外れなければ撃たれたと思っていい。」
S-30「撃たれる………」
R-37「マークから外れるには蛇行飛行・急上昇・急降下などがある。とにかく速さが勝負の鍵になる。」
S-30「…もしマークから外れなかったら………」
H-152「もし外れなかったらFlexに『撃墜されました』と表示される。その時点で終わり…地上待機になる。」
R-37「大丈夫だ、お前らならきっと上手くいく。」
S-30&H-152「……………」
 
 
 
 
 
R-37「……最後まで生き残れ。」
 
 
 
 
 
 
 
そう言うと通信が切れた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして、目の前に無数の黒い影が見えてきた。