Wafty’s diary

情熱は止まらない 私達は進み続ける

其の拾陸

其の拾陸
『水の都。ラティ一族の故郷。』

8月19日(朝食○ 昼食自由 夕食○)
7:30 フィレンツェ  (約3時間30分/274km) →
●ミラノに向かう途中、水の都ヴェネチアを訪れる
着後 :ヴェネチアちょっぴり自由行動
ヴェネチアの中心サンマルコ広場へ、3時間程のフリータイムを取る
ヴェネチア  (約3時間30分/276km) → その後、北イタリアの中心都市、ミラノへ
20:00 :ミラノ   / ホテル着
●夕食は名物ミラノ風リゾットとカツレツを用意                  ミラノ 2連泊【ベストウエスタン・ガッレス】

 
「おーい!早くー」
 
…ハッ
 
サン・マルコ寺院辺りで、映画のEDの何処かで見た様な風景に見惚れていた私は彼女の声で我に帰る。
そう、ここからは自由解散だった。わずかな短時間でいかに多く回れるか、それを考えなければ……
 
「付いてきて!」
「あ、うん」
考える時間を与える隙も無く彼女は私を誘導する。そうか…ここは“彼ら”の故郷……
彼女にとっては第二の故郷にあたる。“彼ら”は、この街を自分の事の様にのように知り尽くしているみたいだ。
勿論、彼女にとってもこの街は初めてだ。しかし、彼女は迷路のような路地を少しも迷うことなく進んで行く。
 
やがて一つの運河が通る橋へとやってきた。
 
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「この街の橋って何処も階段状になってるね。」
「そう。でないと、ゴンドラやボートが通れないw」
「確かにw でも、それだけ水位が高いわけか。」
「まるで建物が浮かんでるみたいだよね。」
 
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「これが映画でも出てきた『ゴンドラ』^^」
「造りが細かいね。やっぱり職人さんが一つ一つ手作りで作ってるの?」
「うん、出来るまで結構時間かかるみたい。」
「船首部が左右対称じゃないんだね。」
「そうそう、よく見ると微妙に左よりになってるんだよ。この方が制御の時に便利みたい。」
「へ~」
 
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「ゴンドラって何か高級そうなイメージがあるよね」
「ハネムーンにも使われるくらいだからねぇw」
「なるほどw」
 
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「これが日常なんだなぁ…」
「水と共に生きてるって感じだね。
「さすが水の都!」
 
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「こんな狭い所まで運河が…www」
「そう!w」
 
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「いやーあっちこっち運河と路地だらけだ。」
「迷宮って言うだけの事はあるでしょ?」
「確かに…って、よく迷わないなぁw」
「まぁ粗方知り尽くしてるみたいなもんだからww」
「凄いなぁww」
 
彼女に連れられるまま迷宮の中を進んでゆく。その手は少しひんやりしていて如何にも“彼女”らしかった。
やがて、路地の出口が見えてきた。
 
「ここを曲がって真っすぐ行ってその先を行けば…ほら!」
「おぉー大運河だ!」
 
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辿りついたのはヴェネチアの中心部を通る大運河
その名の通り、ここは少し大きい中型船舶も通行可能だ。様々な船が行き交って実に賑わいがある。
 
「あ…もしかして…」
「うん、この橋!このリアルト橋を見て欲しかったの!」
 
リアルト橋
ヴェネチアを代表する有名な橋ヴェネチア繁栄はここを起源に始まったと言う。
見た目以上に大きな橋で、橋の上には沢山店舗が並んでいて、橋の中心部を歩いていると
ただ階段状の道を歩いているみたいな錯覚に陥る。それくらい大きい橋。
映画では最初の水上レース時に屋根や店舗が無い状態で、雰囲気を変えてさりげなく登場していた。
 
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「へーこれがリアルト橋…よくパンフレットにあるよねw」
「そうやねw」
「登ってみよう!」
「うん♪」
 
橋の上は、これまた人が多い。写真を撮る人が多いからだ。まぁ自分もその一員になってしまうのだがw
橋の上から見える風景は格別だった。絵の風景がそこにはあった……
 
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「これは…凄いな…」
「綺麗だね~」
「このまま絵になんじゃんw」
「実際、絵にしてる人多いからねw」
これは貴重な体験だ…連れてきてくれてありがとう!」
「いえいえ^^* 満足してるみたいで良かった♪」
 
 
「……ところで、船同士ぶつからないのかな」
「うーん、あんまり見ないなぁ」
「やっぱ例の?w」
「うん、『歪みねぇテクニック』ww」
「イタリアって車だけじゃ無くて船も運転上手いんだなww」
「無駄にクオリティ高い国ですwww」
 
 
そんな会話をリアルト橋の上で繰り広げている内に、ふと何かの気配を感じた。
まるで誰かに見られている様な……でも……人間の視線とは違う…彼女と同じような気配を感じた。
 
 
「…そんな……まさか……」
「…………本物を見たの………?」
「いや…そんな事はあり得ない!この世界ではあり得ない!あったらおかしいよ!!絶対!!」
 
 
「…『あり得ない事は、あり得ない』…って、誰かが言ってたよね。」
 
「…………」
 
 
じゃあ、あの時感じた気配は一体…………
リアルト橋に居た時、確かに私は誰かに見られていた。それは近かったのか遠かったのかは分からない。
 
今でもこれは謎だ。普通の人がただ見ていたというだけのことかもしれない。
 
きっとそうなのだろう……きっとそうだ……うん。
 
 
 
「ま、いっか。行こう!」
「うん♪」
 
 
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私は再び、彼女と共に迷宮へと戻っていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
次回、ここ何処やねん!
其の拾漆に続く。
 
 
あなたは、この迷宮から抜け出す事が出来ますか…?