Wafty’s diary

情熱は止まらない 私達は進み続ける

【第24話 單冠湾】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

『單冠湾に大型船の船影一隻確認、警戒。』
シンオウ地方の東エリアが赤く染まったまま警報は鳴り続ける。
警報が鳴った直後、誰かがシンオウ情報部へ一報を入れた。
 
「あの船、全く動いていないみたいですよ。」
一報を入れたのは人間から伝説と言われるポケモン。そのポケモンは―――――
 
 
 
シンオウ地方、單冠湾付近。
 
「やぁこれはこれは人間さん、やっとお出ましですか。随分控えめな登場じゃないの。」
「シークさん、あれが…人間界の船ですか?」
「あぁ、この世界とほとんど変わりゃしないさ。ただ、あれは見るからに戦闘用じゃない。」
「戦闘用じゃない?」
「客船…いや、フェリーか。あまりにも外装がお粗末過ぎる。誘ってるつもりなのか?」
「どうします?海上隊に偵察しにいかせましょうか。」
「いやその必要は無い。向こうから何か仕掛ける。焦るな。」
「分かりました。シンオウ情報部に伝えます。」
 
Q-8964「シンオウ情報部、こちら第1航空隊カササギ。」
#4-1「第1航空隊カササギどうぞ。」
Q-8964「現在、目標は沖合で停泊中の模様。動く気配は見られません。」
#4-1「船種は確認出来るか?」
Q-8964「それが…戦闘用では無く、フェリーらしきものと思われます。」
#4-1「フェリー?客船か?何か信号は?」
 
「シークさん、何か信号とか無いですか?」
 
その時、超音波のような波をシークは感じた。
「シッ!動くな!」
「…!」
「奴ら…近くに動作物が無いか確認してやがる…」
「それは敵のセンサーか何かでしょうか…」
「とにかく今は動くな…」
 
#4-1「どうした?第1航空隊カササギ、応答せよ。」
Q-8964「こちら第1航空隊カササギ。現在、敵の動作物探査により行動不可能。しばらく通信を控える。」
#4-1「了解、援軍を出すか?」
Q-8964「その必要無し。今はシンオウ東エリア一体、全部隊の一切の動作を止めるよう指示願う。」
#4-1「了解した。」
プッ
―― 状況終了 ――
 
次の瞬間、シンオウの全部隊のFlexに表示された。
 
シンオウ情報部からシンオウ全部隊へ通達!
『現在、目標は我々を特殊音波により探査中。
次の指示までシンオウ東エリア一体で活動中の全部隊は一切の動作を停止せよ。』
 
 
 
 
シンオウ地方に緊張と静寂が訪れる。東エリア一体の隊員達は沖合の船影をただ一点に見つめた。
船影、動かず。動くものは波と風に揺れる草木だけとなった。
「シークさん…まだですか?」
「まだだ。焦るな…奴らはしつこい…根気強く粘るんだ。」
「はい…」
シンオウの隊員達は次の指示をひたすら待ち続けた。情報部もその様子をリアルタイムで観測していた。
観測情報は全国の情報部へと配信されていた。勿論、ミライもこの一連の船影事件を把握していた。
 
 
 
ジョウト情報部。
情報部には多くの隊員達が映し出されていたその船影の様子に見入っていた。
 
シンオウ地方は、未だに沈黙状態が続いているようです。」
「動作停止命令が出て10分が経過しました…」
「一体どうなってるんだ向こうは。」
 
 
「セレンどう思う?あの船?」
「どう思うも何もこんな始まり方ってのがそもそも変って言うか…つーか、誰よ?」
「どもー俺ヴァンっていいまーす!」
「ヴァン…さて、何処かで聞いた様な……あー!」
「思いだしたか?」
「……///」
「スラッシュ好きだな」
「ちげーよ!」
「まぁまぁこれから仲良くしましょうや。俺は第2陸上隊所属だ、よろしく!セレン!」
「気に入った。よろしく!」
 
またまた新キャラ登場。マニューラこと、ヴァン。
彼曰く、何故か生まれた時からもうこの名前が付いているらしい。俺とは対照的な経歴を持つ。
性格も俺とはまるで違う。でも何故か馴染んでしまう、そんな方。そういえばアイツもそうだった。
アイツは今何処で何をしているのだろう。すっかり遠い存在になってしまったな…
 
 
そんな事を思っている間も、シンオウは緊張が続いていた。
單冠湾付近。
 
 
「シークさん…ま、まだですか…もう50分が経過してます…」
「…………」
「シークさん…!」
「…いいぞ…解除…」
「え?」
「動作停止命令解除!」
「は、はい!」
 
 
Q-8964「こちら第1航空隊カササギ、ジョウト情報部応答せよ。」
#4-1「こちらジョウト情報部、第1航空隊カササギどうぞ。」
Q-8964「敵の探査行動終了を確認。動作停止解除の指示願う。」
#4-1「了解」
プッ
―― 状況終了 ――
 
シンオウ情報部からシンオウ全部隊へ通達!
『敵の探査行動終了を確認。シンオウ東エリア一体で活動中の全部隊の動作停止命令を解除する。』
 
 
沈黙と緊張が消えた。
 
 
「これで一先ず安心ですね、シークさん。」
「とりあえずな…だけど油断するな、奴らまた仕掛けてくるぞ。気を付けろ。」
「はい。」
シーク達は再び沖合に停泊中の船影の監視活動へと戻った。
シーク…人間から伝説と言われるポケモン
 
 
 
 
 
人間からはデオキシスと呼ばれる―――――