Wafty’s diary

情熱は止まらない 私達は進み続ける

【第32話 大海中戦】 SPECIAL ATTACK APPLICANT

S-30 「シークさん!大変です!応答して下さい…ッ!」

「(何故だ…何故セレンと通信が繋がる…まさか…シナリオが変わった…!? )」



S-99423 「どうした!? 大丈夫か!? 」
S-30 「とにかく早く!早く!!早くッ!!急いでこっちに来て下さい!!」
S-99423 「わ、分かった!」

「くそっ!アイツら何をした…!」

シークは急いで N-spot 2 付近上空へ向かった。







そこでシークが見たものはあまりにも多過ぎる負傷者の数だった。

「何だこれは…」
「あぁ…シークさん…」
「セレン何があった!皆、F-86Aにやられたのか?」
「うぅっ…作戦は成功していたんです…成功していたんです……なのに…なのに…!」
「…何があったんだ。」
「あの囮作戦で実際に現れたのは100機だったんです……!」
「何だと…!?」
「100機を撃墜した時点では負傷者は出たものの数名だけだった…作戦は成功したと思っていたんです。」
「まさか…」
そこに突然、残りの35機が突然現れたんですよ!一直線に突っ込んできたんです!!
「(くっそ…!アイツら最初からこれが狙いだったのか…!)」
「勿論、応戦しましたよ…でも、もう間に合いませんでした…応戦する前に大半の隊員達が撃たれていた…」
「(無理もないな…向こうは音速並みだから…)」
「こんなのあまりにも理不尽じゃないですか…シークさんッ!!」
「(返す言葉が無い…)」
「どうして…どうして……こんな事に……これもシナリオって奴ですか…シークさん…」
「違う…おそらくシナリオが変わったんだ…セレン。」
「変わった…?」
「詳しく話すと長くなる…でも今はそれどころじゃない!」
「え…」

ハヤテ先輩が叫んだ。
「おい!下見ろ!」
とっさに下の海上を見た。そこには護衛艦相当の敵艦が数隻と中型船舶が多数出現していた。

…ピーッ!! ピーッ!! ピーッ!!…


鳴っているのを忘れるくらいFlexの警告音は囮作戦以降、鳴り続けていた。






ジョウト情報部。
思考を取り戻したミライは直ぐに情報処理のエキスパートとしての役割を果たし始めた。

「状況は!まず航空隊!」
「は!N-spot 1とN-spot 3に出現した敵機は現在、第4航空隊と第5航空隊が追撃中!」
「第2航空隊は待機状態です。いつでも支援攻撃可能です。」
「了解。次、海上隊!」
「現在最も危険な地点はN-spot 3付近海域!第4海上隊偵察部隊と第5海上隊の先発部隊の通信は断線!」
「現在、第4海上隊と第5海上隊が応戦しています。戦況は、やや我々の方が優勢です。」
「第5海上隊をN-spot 3の戦闘から離脱させて下さい。他のN-spotが狙われます!」
「了解しました。」
「現在、N-spot2とN-spot3に船舶が出現しています。規模は圧倒的にN-spot 3の方が大きい模様です。」
「了解。第2航空隊をN-spot 3の船舶攻撃にまわして下さい!」
「は!」
「N-spot 2はまだ戦闘は始まっておらず、沈黙を保っています。現在第3海上隊が戦闘待機。」
「N-spot 3付近の海上隊員より入電!敵艦からの機雷の数が増えている模様!」
「隊員達に衝撃波・被弾に一層警戒するよう通達!」

「了解!更にN-spot 3付近より入電!ブ、ブレインボールが機雷と共に投下されています……!」
ブレインボールの一報に情報部は困惑した。


「ブレインボール…!」
シンオウであったアレか…」
「捕らえられると洗脳されるとか…嘘だよな…」
「ざわ…ざわ…」


その動揺を切り裂くかのごとくミライが叫んだ。
「動揺しないで下さい!あれはブレインボールに似せかけた機雷です!」
「…!?」

直後、再びN-spot 3付近から入電があった。
「N-spot 3付近より入電!ブレインボールは物体に接触と同時に爆発する模様!」
「何…!?」
「ブレインボール自体はポケモンを追いかけず、機雷と同じく落下するだけとの事です!」

(やはりシンオウの時と仕様が異なるブレインボール…!)
ミライは自然と生まれ持ちのエスパー能力を発揮し出した。

「機雷が物体に接触しなくても爆発するのに対し、ブレインボールの方は接触するまで爆発しないそうです!」
(という事は次は…追跡型機械の類…!)
「凄い…ミライちゃんの言った事、また当たっちゃった…」
「感心してる場合じゃないです先輩!次はおそらくポケモンを自動で探して殺傷する機械が現れます!」
「な…何!?嘘だろ…!?」

「嘘じゃありません!マジに来ます!!」

「更にN-spot 3より入電!大変です!ポケモンを自動探索して殺傷する機械が次々と投下されています!」
「マジかよ!!くっそ!!」
(敵の攻撃が早い!まずい…このままだと…!) 即、その機械を集中攻撃するよう通達して下さい!!」
「は!!」
(まずい…! まずい…!! まずい…!!!) 急いで!!急いで!!その機械がこの勝負の勝敗を左右します!!」
「(ミライちゃんが本気の顔してる!! 冗談抜きでやばいってコレ!! ) 集中攻撃だ!機械を全て破壊しろ!!」

(まずい!! まずい!! まずいィィィイ!!!!!!)














『いやだ』 
『しにたくない』 

「無駄」 

『どうしてころすの』 

「お前達は人に近付きすぎた」

『ぼくらはわるくない』

「私達も悪くない」 
「だが私達の方が強い」 
「だからお前達はここで死ぬ」 

『しぬ?』
「死ぬ」
『しぬの?』
「死ぬ」
『いやだ』
「死ぬ」
『しにたくない…』
「死ぬ」
『いやだ…』
「死ぬ」
『い…y…』


確立 
確立 









確立

















“うっわあぁああぁぁああ!!!グシャァッ ザザ――…”


(!!
「何だ…今の叫びは…」


「…た…隊員からの信号が切れ…」
“えっ…な…ぁあぁぁああああああああああ!!!!!ギリギリギリ…グシャッ!! ”
「ひっひぃッ…!」

“本部、何なんですかアレ!何なんだよォオオォッ!!こっ…こっちに来やがったぁぁあぁ!!”

「落ち着いて!!とにかく機械の中央を集中攻撃して下さい!!!」

“はっ!はいィッ!!!”




敵はミライの予測を上回るスピードで海中の攻撃を仕掛けた。
圧倒的な数と装備を有する敵は容赦なく、隊員達を無差別に殺傷していった。

しかし、これが大海中戦の始まりのほんの一部に過ぎない事はミライは分かっていた。
だから彼女は全力で防ごうとした。
電気タイプでありながら未来の事が読めるポケモンは確かに異様だったのかもしれない。
だが、彼女は全力で犠牲者を無くそうとした。自分の持つ能力をフルに活かして。
変なポケモンと言われようが何と言われようが…そんなのはもう気にしなかった。





気にしていたら、進む。終わりへのルートが。
気にしていたら、死ぬ。自分が。





それが、ここの現実なのだから。