皆を守りたい――――――
僕はそう強く決心して、大人のエアームドに近づいて言った。
『……やります。俺はやります!!』
『おぉ、そうか!頼もしいぞ!それでこそ、エアームドだ!!ありがとう。』
『はい!ポケモン達を…皆を…仲間を…何としても守りたいんです!!!』
『そうか…いい奴じゃないか…よし!!決心はすっかりついたみたいだな!』
『はい!』
大人のエアームドは、他の仲間達に向けて言った。
『…おそらく時期に君達も陸上隊や海上隊などに召集されるだろう。すまないな…。』
『いえ…いいんです。ポケモン達が滅ぶよりはマシですから。』
『そう!このまま人間の思いのままには、させない!!絶対!』
『そうよ!私達の世界は私達自身で守らないと!!』
『…なんて素晴らしい若者たちなんだ…私は……君達の強い心に感動したよ…』
大人のエアームドは、外を向いて静かにつぶやいた。
『君達、若者はまだ未来がある…だから本音を言うと…君達を戦わせたくない………』
『…………』
『けれど…もう時間が無いんだ……本当にすまない……悪いのは全て人間世界の人間だ………』
『…………』
『君達には何の罪も無いんだ……』
『…………』
僕達は彼の話を聞いて改めて、事態の深刻さを知った。
時間が無い―――――――――――
この言葉の意味がいかに重いかが身にしみてわかった。
『取り乱してすまない…エアームド君…では…そろそろ皆に別れを告げないと……』
『はい……うっ……ぐす……』
自然と目から涙が出てきてしまった。
これで仲間と会うのは最後かもしれないと思うと、次から次へと涙が出てしまう…
『エアームド…元気でな…またいつか会おうな…』
『頑張れよ。応援してるぜ…何処かでまた会おうな…』
『ありがとう…エアームド君…一緒にいて凄く楽しかったよ…また…会おうね………』
『う…………うぁっ……ぁ…ありがとう…みんな…………うぐ…く…………』
僕はこらえきれずにその場を飛び去って叫んだ。
『……さよならっ…………・さようならぁぁぁぁぁぁぁあああああっ!!!』
『あ!エアームド君!……』
他の仲間は皆一斉に、この言葉を口にした。
『彼は…きっと強くなってこの地に帰ってきますよ…では…失礼します。』
大人のエアームドは、他の仲間達に深くお辞儀をして僕の後を追っていった。
皆の声が遠くで聞こえた。
『エアームドォ!!さようならあああああああああっ!!!』
『さようならぁぁああああああああああっ!!』
『さようならぁぁああああああああああっ!!』
僕は涙をずっと流したまま行くあても無く、飛び続けた。
ただ…あの悲しい状況から逃げたかっただけなのかもしれない……。
気が付けば、人間の宣戦布告から6日目の夕日が西に沈みかかっていた。
流した涙は夕日を受けてキラキラと輝きながら横へ流れていった。