Wafty’s diary

情熱は止まらない 私達は進み続ける

The last battle/第3部

 
 
ヒュォォォォオオオオオ........................................
 
 
 
あられが混じった風は音を立てながら容赦なく二人のトレーナーを襲っていた。
 
レッドはそんな天気でもびくともしなかった。
 
『くっそぉ・・・・何なんだ・・・・・あいつは・・・・・・』
ゴールドは慣れない天気とレッドの様子を見ていてイライラしていた。
『・・・・・・ふん、お前、個体値ってもんを知らないのか?
レッドは小さいながらもわざとゴールドに聞こえるように言った。
『うっせぇ!!シンジの真似なんかしてんじゃねーよ!』
『・・・・・・・・・・・・』
『すぐに黙りやがって!お前は・・・お前は・・・そんな奴だったのか!?レッド!!』
『・・・・・・・・・バトルの時は感情なんていらない。ただ勝つだけ。それだけだ。
『ふざけんな、俺がそんなの変えてやる!いけ!アブソル!』
アブソルが戦闘にでた。Lv.82。カビゴンよりはレベルで劣っている。
『ゴールド・・・・・あれをやっていいんだな?』
アブソルが心配の意味も込めて聞き返してきた。
『・・・ああ、いいさ。例のあれをやるんだ。』
ゴールドが指示を出すのと同時にレッドはカビゴンに指示をだす。
『・・・・・・・・・・・・・・・ふぶき。
 
アブソルの方が早かった。何とも言えない声が山々に響く。・・・・・・・・・『ほろびのうた』だった。
3秒後にふぶきがアブソルに炸裂した。
『くっ!!!・・・・・うぅううう!!』HPが下がっていく。
『耐えろ!耐えるんだ!頑張れ!』ゴールドが必死に叫んだ。
『うぐっ・・・・はぁ・・はぁ・・』熱意が伝わったのかアブソルのHPは奇跡的に半分くらい残っていた。
『・・・・・・・ほう、氷漬けにならなかったか・・・・どうする・・・・変えるべきか・・・いや、まだいけるな。
レッドはカビゴンをフィールドに出したままにした。
 
これがゴールドの作戦とも知らずに。
『大丈夫か?アブソル・・・・作戦は半分成功だ。次で完全なものになるんだが・・・・・』
『・・・・・・ゴールド・・・・・俺は・・お前を信じてる。だからお前のポケモンとしてここにいるんだ・・』
『・・・・・アブソル、お前・・良いのか?本当に・・・・』
アブソルは空を見上げてうなずいた。そして、静かに言った。
バクフーンに・・・こう言ってくれ。お前のご主人は・・決してお前を裏切ったりしないと・・・。』
言った直後に、アブソルは元の定位置に戻った。ゴールドはこらえきれず、後ろを向いて叫んだ。
『・・・アブソル、黒いまなざしだ!!・・ああぁああああああああ!!』
これでカビゴンはフィールドから逃げられなくなってしまった。
レッドのカビゴンがすぐに攻撃に入った。ギガインパクトだった。
 
中越しに凄まじい音とともに吹っ飛ばされ、地面に強く叩きつけられるような音がした。
 
ゴールドは後ろを向いたままただ握りこぶしを両手につくって震えていた。
『・・・・・・戻れ。アブソル・・・・。』後ろを向いたまま、モンスターボールにHP0のアブソルを戻した。
レッドはいたって冷静だった。だが心の中でかなり焦っていた。
『・・・・・まずいな。次のあいつのポケモン次第でかなり状況が変わる。・・・・・・だが・・・アブソルはなぜ、奴の指示を・・・・
1分間の沈黙が続いた。そして、ゴールドは決心して前を向いて言った。
『・・・・・・全てはお前にかかっている!ゆけ!ルギア!』
ルギアが戦闘に出た。Lv.88。レベルでは勝っている。
レッドはやばいと思った。そしてゴールドの作戦にひっかかった事に気付いた。
『・・・・・・ちっ。ルギアはまずいな・・・・・。』そして、またゴールドに聞こえるような声で言った。
『・・・・・・お前は伝説厨か?そこまでして俺を倒したいか?
勿論、ゴールドは聞き逃していなかった。
『黙れ!!なんでそんなに冷たいんだ・・・・・人間性ってもんが無いのか!お前!』
『・・・・・・・・・・・』レッドはまた黙りこんだ。
『そっちから来ないんならこっちから行くぜ!エアロブラスト!』
ルギアはエアロブラストを発動。カビゴンに命中させた。
急所に当たった。HPは0になってカビゴンはその場に倒れた。
『・・・・・・・・・・くそ・・・・
レッドは倒れたカビゴンを戻してフシギバナを戦闘に出した。Lv.84だった。
ルギアが言った。
『俺はフシギバナとは相性が悪い。バクフーンに変えるべきだよ。』
『・・・ああ、そうだな。でも・・・あいつはレベルが・・・』
『ゴールド!お前はバトルの前はあんなに明るかったじゃないか!どうしたんだよ!』
『・・・・・ルギア、わかった。詳しくは後で話すから。』
『・・・・・そうか・・・でもなゴールド、これだけは忘れるなよ。皆お前を信じているって事を。』
『・・・・・ありがとう。』ゴールドはルギアを戻してバクフーンを戦闘に出した。
 
バクフーン、君の出番だ・・・・・うっ・・・・ぐす・・・』
『・・・・・・・・・・ゴールド・・・・泣いてるの・・・・・?』
『いや・・、何でもない。いくぞ!バクフーン!』
『お、おう!』バクフーンは草系のフシギバナには有利だった。
レッドはフシギバナに指示をだした。
『・・・・・・・・・・ギガドレインバクフーンにヒットした。
バクフーン!お前の本気を見せてやれ!かえんほうしゃ!』
『うぉおおぉおおおおおお!!』バクフーンは全ての力をこのかえんほうしゃに込めた。
フシギバナにヒットした。HPはお互いレッドゾーンでストップした。
・・・・・・・が、あられが同時にお互いの体力を奪った。
 
そして両者ともにHPは0になり、倒れてしまった。
 
レッドはフシギバナを戻す際につぶやいた。
・・・・・・・・・・・・・・ふ、これでホントに最後だな・・・・』最後のポケモンリザードンを戦闘に出した。Lv.84。
ゴールドも全力で戦ったバクフーンモンスターボールに戻した。
『・・・・・良く頑張った、バクフーン・・・ありがとな・・・さぁ、これで終わりだレッド!!』
再びルギアを戦闘に出した。相性はゴールドの方が優勢だ。
『いっけえええええええ!!ハイドロポンプ!!!!!』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゴールド、君は・・・・・・・そんなにポケモンの事を・・・・・・・・
レッドがつぶやいた直後にハイドロポンプリザードンにヒットした。
『うぁぁあぁあああああああああああああ!!!』
リザードンの叫びがレッドをはっとさせた。
『・・・・叫びが・・・・・聞こえる・・・・・・リザードンの・・・・・・感情が・・・!!なんだ・・・・この感覚は・・・・
リザードンはHP0になって倒れた。レッドは膝を雪の上に落とした。
 
『どうだ!レッド!これがポケモンと人間とが力を合わせた結晶だ!!』
ゴールドはレッドに向かって言った。
・・・・・・・・・・・・・・・俺が負けた・・・・・・・こんな事って・・・・・・う・・・・・・く・・・・・・・
レッドは言葉が出なかった。
・・・・・・けれど、なんだこの気持ち。今までとは違うこの気持ち・・・・・なんなんだ!?
 
 
 
『・・・・・・・それはレッドさん自身が心を開いた瞬間だと俺は思います。』
『・・・・・ゴールドのルギア!?語っている・・・・・・・?』
ルギアは膝を落としていたレッドに話しかけた。
ポケモンと人間は心を合わせて初めて最高のパートナーになる・・・・昔よく遊んだ友が言ってました。』
『・・・・・・・・・・・・・』
『決して偉い事を言う訳ではありません。ただ・・・レッドさんはその事に気付いていましたか?』
『・・・・・・・・・・・・・』
『バトルの時だけ心は自分ひとりだけの世界になってたんじゃないですか?』
『・・・・・・・ルギアさん・・・・確かにあなたの言うとおりだ。俺は今までそんな風になっていた・・・・・・・・・
『でも、最後にレッドさんは真の綺麗な心を手に入れたのを俺は見ました。』
・・・・・・・・え?・・・・どういう事だ?
『それは・・・・・レッドさん自身が一番よくわかってると思います。』
『・・・・・・・・・・・・』
『俺はそれが言いたかっただけです。良いバトルでした。ありがとうございました、レッドさん。』
『・・・・・・・・・・・・・・』
 
『良く頑張った、ルギア。ゆっくり休んでくれ・・・・・』
『あぁ・・・・・・ありがとな・・ゴールド・・』
ゴールドはルギアをもとに戻した。
・・・・・・・・リザードン・・・・・ホントにありがとう・・・・・
レッドもリザードンをもとに戻した。気がつけばありがとうの数が増えていた。
・・・・・・・・・・ルギア・・・・・俺に大切な事を気付かせてくれた・・・・・・・・ルギアが言ってた昔よく遊んだ友って誰なんだろう・・・・・・・
レッドはリザードンの入ったボールを額に当てて空を見上げた。
空は相変わらず、あられが降りしきっていた。
 
けれど、あられはバトルの時より弱くなっていた。
 
ゴールドはモンスターボールを腰に戻すために下を見た。
腰に戻した後、レッドのいる前を見た。
『よし!レッドさん!って・・・・・・あれ?・・・・』
 
レッドの姿はもうそこには無かった。
 
 
 
ゴールドはその辺を捜索したがレッドは見つからなかった。
 
 
 
 
『・・・・レッドさん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれは幻だったのか?・・・』
 
 
 
 
ゴールドの問いに答える者は勿論、いなかった。
 
 
 
 
 
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ここで見た事は誰にも言わない方がいいのかも知れない。』
 
 
『・・・・ででこい!ルギア!』
ルギアがボールから出てきた。
『はいはい!空を飛ぶのか?』
『そう。ワカバヘ帰るよ。頑張れる?』
『勿論!ちょちょいのちょいだ。まかせろい!んじゃ、背中に乗って・・・・・いくよ!ゴールド!』
『おう!いいぞ!』
ゴールドを乗せたルギアはシロガネ山山頂を飛び立った。
 
『あ!ルギア、ちょっといい?』
『ん?なんだ?ゴールド。』
『先にポケモンセンターのある町に行ってくれ。早く皆を元気にさせたいんだ・・・。』
『オッケー。行こう行こう。』
上空で方向転換したのちにポケモンセンターのある町に向かった・・・・・・
 
 
 
2時間後、ゴールド達のポケモンはすっかり元気になっていた。
『いやー皆、ありがとう!ホントにお前らは最高のポケモンだ!』
『はははは!よっしゃあー!』ゴールドのポケモン達は皆、一斉に言った。
 
『よし!お祝いにジュース買ってくるぜ!皆、待ってろよー!』
ゴールドはジュースを買いに走って行った。
ゴールドのいない時間、アブソルはバクフーンに話しかけた。
バクフーン、ゴールドから話を聞いた?』
『え?話って?何があったの?』
『なんやー、何も聞いていないのか・・・・・ま、後で聞いてくれ。』
『??』
 
ゴールドが帰ってきた。ジュースを皆で飲んだ後、皆はボールに入り
バクフーンはゴールドの後ろについていった。
バクフーンはゴールドに聞いた。
『なあゴールド・・・・アブソルが俺に言いたい事をゴールドに伝えたって言ってたけど・・・ホント?』
『あ、ごめんごめん。すっかり忘れてたよ。あのな・・・・・』
 
ゴールドはアブソルが言いたかった事とバトルの状況を全て語った。
 
 
 
語り終えた後、彼らはお互い泣いて泣いて泣いて泣いて泣きまくった。
 
 
 
 
そして気がつけば涙は笑いに変わっていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ありがとう
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
これからも強くなろうな、お互い。
 
 
 
 
 
 
 
『The last battle』~完~